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コーティングにおける水弾きの接触角の違い

【コーティングの水弾き】撥水・疎水(滑水)・親水の違い

車のコーティングを選ぶ際によく目に入る要素の一つが、その「水弾き性能」です。ここでは、撥水性、疎水性(滑水性)、親水性の3つの主要な水弾き性能の違いについて詳しく解説します。

この3つの違い、皆様ご存知でしょうか?

また、コーティング選びの時にどの程度役立つかご存知でしょうか?

今回はこの3つの違いとコーティング選びにどのように役立つかまとめました。

コーティング選びにおける水はじきの違いについて

ABARTH  COMPETIZIONE

結論としてお伝えしますが、水弾きの性能だけでそのコーティングの品質は保証されません。

「撥水はイオンデポジットができやすいので黒系に悪いので親水が良い」

「親水は汚れがほとんどつかない」など言われていますが、いずれも100%そう言えるわけではありません。

最近の塗装はイオンデポジットのダメージを受けにくくなっていることや、

どのようなコーティングでも汚れは付くこと、

保管状況や使用頻度によっても変わることなどを考えると水弾きのみで断定はできません。

フェラーリ ローマをコーティング前に研磨しているところ

コーティング選びの重要度順は

1.下地処理

2.洗車の頻度・保管状況・使用頻度

3.水弾き

の3つです。

どのような水弾きでも下地処理が雑であればそもそもコーティングのクオリティは低いですし、定期的に洗車しないのであればどのコーティングをしても短期間で効果を失ってしまいます。

水弾きはわかりやすい基準ではあるのですが「あれは○○性だから自分の車に合うコーティングなんだ」と考えて選ばれないことをオススメ致します。

逆に、下地処理・洗車の頻度・保管状況・使用頻度について大まかなイメージができている方にとっては水弾きの重要性は高まります。

車のボディコーティングの水弾きとは?

では、そもそも水弾きの違いは何を基準にしているのでしょうか?

それは、水玉と接地面にできる角度(水接触角)の大きさによって区別されています。

コーティングにおける水弾きの接触角の違い

この図に示されているように、水滴が球状である場合、水滴と接地面との接触角が大きくなります。

これを一般に撥水性と呼びます。

一方で、水滴が平たく広がる場合、接触角は小さくなり、これを親水性と呼びます。

撥水性ほど角度が大きくなく、親水性ほど角度が小さくない場合は疎水性(渇水性)と呼びます。

このように接触角の大きさによって、コーティングの撥水性、疎水性、または親水性が判断されます。

各メーカーごとにコーティング剤に混ぜる添加物や分子構造を変えることで、接触角に違いを生み出しています。

CHOOSE NanoTech 社の研究者が水接触角を計測しているところ

カーハートが導入しているKUBEBOND DIAMOND9Hナノセラミックコーティングは開発元CHOOSE NanoTech社では接触角測定装置を用いて日々製品の改良研究が取り組まれています。

KUBEBOND DIAMOND9Hは115°~125°の高撥水なので、接地面に対して綺麗な水玉を形成するよう作用します。

では、コーティングでよく取り上げられる撥水性・疎水性・親水性にはどのような特徴とデメリットがあるのでしょうか?

3つの水弾きの特徴とデメリット

撥水性 -コーティングの定番-

撥水性のコーティングはまとめると下記のようになります。

  • 定義: 撥水性コーティングは、「コーティングといえば撥水性」と言われるほど、コーティング技術の代表的な形態です。水を球状にして表面から弾き、棒状や球状に流れさせる特性があります。
  • 接触角: このコーティングの接触角は95°から105°以上で、これにより水滴は塗装面にあまり触れずに風で飛ばされやすくなります。
  • メリット:
    • 見た目の美しさ: 洗車時や雨天時にも車が綺麗に見え、見た目を重視する方に適しています。
    • 洗車の容易さ: 水が拭き取りやすく、洗車作業が容易です。
  • デメリット:
    • ウォータースポット: 汚れや水滴が原因でウォータースポットができやすいとされます。最新の塗装やコーティングの改良によりこの問題は軽減されています。
    • 特定の製品の改善: 例えば、KUBEBOND DIAMOND9Hナノセラミックコーティングのように115°から125°の高撥水性を持つ製品は、特殊構造によって汚れが付きにくく、ウォータースポットの問題を克服しています。
  • 推奨される使用状況:
    • 頻繁に洗車される方や屋内で車を保管する方に特におすすめです。
    • 屋外保管でも、月に2回以上洗車が可能な場合、施工されることをおすすめいたします。
    • 輝きやデザインを重視する方にもおすすめです。

疎水性(滑水性) -ハイブリッドの性能-

疎水性(滑水性)のコーティングはまとめると下記のようになります。

疎水性コーティングの特徴とメリット

  • 定義と起源: 疎水性コーティングは、撥水性と親水性の中間的な特性を持つとされ、しばしば「滑水性」とも表現されます。この用語は、あるDIYコーティングメーカーによって生み出された造語です。
  • 作用メカニズム: 大量の水や強い水流をかけると、水が膜を形成し、自重や引力によって滑り落ちます。この現象は、接触角が50°から80°の範囲にあることから生じます。
  • メリット:
    • 水切れの良さ: 親水性コーティングに比べて水切れが良く、イオンデポジットや雨染みの発生が少ないため、塗装面に汚れが付きにくいとされます。
    • メンテナンスの容易さ: 水が残りにくいため、洗車後の拭き取り作業が簡単になり、拭き残しによるイオンデポジットの発生を防ぎます。
  • デメリット:
    • 水量に依存: 少量の水では撥水性コーティングと同様に水を弾き、効果を発揮するためには大量の水が必要です。
  • 推奨使用状況:
    • 屋外保管される車や、イオンデポジットの発生が懸念される環境にある車におすすめされますが、コーティングが汚れを完全に防ぐわけではないため、定期的な洗車が引き続き重要です。また、雨量が少ないと汚れが落ちずに塗装面に残ってしまうため注意が必要です。

親水性-影が薄くなりつつある-

親水性のコーティングはまとめると下記のようになります。

親水性コーティングの特徴とメリット

  • 基本情報: 親水性コーティングは、撥水性コーティングに次いで開発されました。この種類のコーティングは、接触角が約30°となり、水が塗装面に広がりやすく、膜を形成してゆっくりと引いていきます。
  • メリット:
    • セルフクリーニング効果: 水が塗装面に広がり、汚れを含んだ水が自然に引いていくことで、塗装面のセルフクリーニング効果を促進します。このため、イオンデポジットや雨染みが目立ちにくくなると言われています。
  • デメリット:
    • 水の流れ: 膜状に広がる水はゆっくりと引くため、疎水性コーティングと比較して水が流れ落ちにくいです。これにより、洗車時の拭き上げ作業がやや手間になります。
    • 視覚的な効果: 水玉が形成されにくいため、撥水性コーティングに比べてコーティングされていることが分かりにくい場合があります。
  • 推奨使用状況:
    • イオンデポジットの発生が気になる車のオーナーに特に推奨されており、セルフクリーニング効果により、塗装面が比較的清潔を保ちやすくなると言われています。ですが、次の項でも説明するように年単位で親水性が持続されるわけでは無く、また施工前後の差が生まれにくいため、あまりおすすめされておりません。

水弾きは状況によって変わり、劣化する。

コーティングにおける水弾きの接触角の違い

水弾きの性質は、撥水、疎水、そして親水性の三つに大別され、それぞれが特有のメリットとデメリットを持っています。

撥水性は水接触角が最も高く、水が塗装面から容易に弾かれます。

疎水性はその中間で、水が膜を作りやすく滑り落ちる特性を有しています。

一方で、親水性は最も低い水接触角を持ち、水が塗装面に広がりやすいです。

しかし、これらの特性はあくまで理想的な状態での話であり、実際には多くの要因によって変化します。

例えば、撥水性であっても、水が多い場合は疎水性のように見えることがありますし、逆に疎水性でも水の量が少ないと撥水性のように水玉を作ります。

さらに、親水性も外部からの汚れや鉄粉の付着によって撥水性や疎水性のように変化することがあります。

重要なのは、どのタイプのコーティングもメンテナンスが欠かせないということです。

適切な洗車とケアを怠ると、どんなに優れたコーティングもその効果を失ってしまいます。

また、コーティングが汚れを完全に防ぐわけではないため、水弾きの性質を変えたとしても、車のメンテナンスが劇的に楽になるわけではありません。

特に注意すべきは、水弾き効果は永続的なものではなく、時間と共に劣化していく性質があるという点です。

車の外側は常に汚れにさらされるため、コーティングの劣化は避けられません。

そのため、輝きや艶を維持するためには定期的なプロによるメンテナンスが不可欠です。

コーティングの効果を最大限に発揮するための研磨

ランボルギーニ ガヤルドを研磨しているところ

コーティングの効果を最大限に発揮させるためには、水弾きよりも下地処理の研磨が非常に重要です。

下地処理を怠ると、コーティングの密着性が低下し、最終的な仕上がりの品質に大きく影響します。

他業者にて施工されたLamborghini Aventador SとCARHEARTがコーティングを再施工したLamborghini Aventador S

下地処理や研磨が悪いとコーティングする前よりも状態が悪くなります。

研磨によって塗装面の微細な傷や不純物を取り除き、滑らかで均一な表面を作り出すことで、コーティング剤が均等に塗布され、長持ちする保護膜を形成することができます。

オーナー様ができること

車の所有者としてできる最善の対策は、コーティングを長持ちさせるために定期的かつ丁寧な洗車を心がけることです。

雨に濡れた後や長距離を運転した後は特に洗車をすることが推奨されます。

コーティングを選ぶ際には、単に水弾きの良さだけでなく、車の保管状況や使用頻度、そして洗車の頻度なども考慮に入れることが重要です。

そして専門店に依頼する場合は、しっかりと下地処理を行ってくれるかも重要なポイントです。

これらの要因を総合的に判断し、自分のライフスタイルに最適なコーティング、コーティング専門店を選ぶことが、車を長く美しく保つ秘訣です。

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2018年11月27日